期間: 2005/05/21~2005/07/02
シュウゴアーツでは森村泰昌の新作展を開催します。作家は大阪生まれ。1985年、自らがゴッホになる写真作品を発表し、以降美術史上の名画や映画女優をテーマにセルフポートレート作品を作り続けています。その表現方法は、写真の他にも映画、舞台、パフォーマンスと多岐にわたりますが、いずれも自らが他者に「なる」ことで、観るものの視線の根源である自我に問いかけ、自己と他者の関係性、そして自己自身というものを再認識させるという点で共通しています。
新作は18世紀の巨匠、ゴヤの銅版画集「ロス・カプリチョス」を題材にしたものを中心に制作されました。このシリーズは18世紀末当時のスペイン社会を諷刺するもので、政治や宗教、悪徳や悪習などを批判的に描いています。森村はこの「ロス・カプリチョス」を再解読、再構成し、どのような現代的諷刺が生み出せるかに挑みました。
森村の作品に共通している、「自身が扮装し作品の内側に入り込むことで新たな理解を生み出す」という要素がこの新作にも如何なく発揮されています。必ずしもゴヤの解釈に沿わず、ゴヤの作品から見出した重要な要素「コメディ/笑い」「グロテスク/闇」「魅惑/美」…これらの複雑な要素を組み合わせ完成したものが、「ロス・ヌエボス・カプリチョス/諷刺家伝」、森村の演出・出演による現代社会をテーマにした寸劇です。観る者はめくるめく15点の場面から、戦争、経済、医療、複雑な人間の愛憎関係、ジェンダー、流行など、様々な現代社会の問題点を見出すことでしょう。
加えてゴヤにまつわる作品として「アルバ公爵夫人」と「黒い絵」シリーズに基づいた作品も同時に発表されます。それら新作全20点を掲載した美しい作品集も同時に制作されました。仕様はA4サイズハードカバー、フルカラー56Pです。ゴヤによるオリジナルの図版も掲載されており、森村バージョンとの比較も楽しめる興味深い一冊です。
満を持して開催される森村泰昌の新作展をこの機会に是非ご高覧下さい。
会場: SHUGOARTS
入場料: 無料
時間: 11:00~19:00
休館日: 毎週日・月曜日・祝日
住所: 〒104-0033 東京都中央区新川1-31-6-2F
TEL/FAX: 03-5542-3468 / 03-5542-3469
Email: info@shugoarts.com
URL:
http://www.shugoarts.com/