期間: 2005/05/10~2005/05/15
出会った「日常」の中から紡ぎ出される色彩とかたち。それらから私たち自身は、どのような記憶や感情を呼び起こされるだろうか。
大橋亮:主に大伸ばしのカラープリントによって街なかや郊外の風景を写真で表現しているが、そのクールな画面の中の光景は、撮影の現場に在った時間の流れを読み取らせてくれる。
こまちまり:床に置かれた多数の卵の殻に仕込まれた電球がさまざまな人の「鼓動」のリズムで点滅する展示など、人の身体に対する自身の興味や思い入れをかたちにしたような作品を主に制作。
古川万里:実際に訪れたさまざまな国の市場などで「鳥籠」を買い、それぞれの国で見たいろいろな生活風景をオブジェとしてつくり鳥籠の中に収めた作品を主に制作。
吉田チロル:「ヨーグルト」に対するあらゆる情報を一冊の手帖に綿密に手書きした「本」の形式の作品や、アクリル絵具による無数のドットをもって「幾何学的風景」を表した作品など、多彩な表現を行っている。
私たちは日常の中で、無数の光景や物事、人などと出会う。そうした中の一部分は、何かの縁で選ばれて個々の記憶となるが、それと同時に、大多数を占める無意識の内のものも含めて、無数の小さな出会いは渾然一体となって止むことなく大きな「時間」そのものとなり、流れるように眼前を通り過ぎてゆく。「見出された光景」と、そのとき私たちを包み込んでいた時空間。その間にはどれほどの違いがあるのだろうか。人の数だけ異なったものがあるだろう現実に対する視線の行方は、もちろん個々の感性のなせる技だが、そこには、色やにおい、かたち、触感、音などの五感を通して知ったあらゆる記憶からの参照が大きく影響しており、それは、実際に記憶として残されたものだけではなく、無意識の下に隠された、「見出されなかったもの」の記憶も強く関わっているような気がしてならないのだ。
今回行われる「日日」は、4人の作家がそれぞれの「日常」に根差した色彩やかたちを造形に結実させた作品をもって構成される展覧会だが、そうやって表される多様な「日常」と相対することによって私たちは、自己の意識の中からどのような記憶や感情を解き起こされるだろうか。
会場: Gallery ART SPACE
入場料: 無料
時間: 12:00~19:00
(~17:00 on every Sunday)
休館日: 毎週月曜日
住所: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-5第5大鉄ビル4F
TEL/FAX: 03-3402-7385
URL:
http://www2.odn.ne.jp/artspace